ほげったけど一歩前進

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要介護者を連れての旅行でホテル・旅館選びのためのトイレ浴室の5つのポイント

要介護になってしまった親を旅行に連れていきたい。介護される方もたまには旅行に行きたい。楽しい旅行を実現するためにはどこに泊まるかが重要だ。宿泊施設を選ぶ上ではトイレと浴室がポイントになる。

2年前に沖縄へ要介護3の父(80歳)と母(77歳、介護は必要ない)を連れて旅行に行った。もうヘトヘトだった。(T_T)
そのときのことがだれかの役に立てばと反省も含めて書いておく。

介護旅行にでかけませんか トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた (介護ライブラリー) 介護旅行にでかけませんか トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた (介護ライブラリー)

 

当時の父の具合はこんな程度。

  • 自分で歩くことも出来るが車椅子があれば使う場合も多い
  • もちろん歩けるはせいぜい10分間程度で、頻繁に腰掛ける場所が必要
  • トイレも1時間に1回程度はいくかも
  • トイレの座ったり立ったりには手すりが必須
  • ベッドで眠ると落ちる危険がある。ベッドなら落下防止の柵が必要
  • 認知症もはじまっており、ときおり人前でも感情的に大声を出す
  • 入浴は介助が必要。浴槽への出入りやシャワー使う場合
  • 食事は自分で食べるが口からこぼしたりすることも多い

1. トイレと浴室への動線はバリアフリー

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(写真説明:右側が浴室の扉、段差がない)

トイレや浴室への動線はバリアフリーにしたい。できたら部屋の中も。自宅では段差があっても慣れているから転ぶことはない。しかしはじめての場所ではちょっとの段差でもひっかかる。旅先で転んで怪我をしたら、せっかくの旅行が台無しになってしまう。
ホテルや旅館で「バリアフリー」をうたっているところも多い。しかし多くは宿泊施設の玄関にスロープがついていて「車椅子」でも入れますという程度と考えた方が良い。部屋の中まで完全バリアフリーな少ない。

2. トイレのチェックポイント

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(写真説明:左側にてすり。便器のまわりのスペースがひろいので介助がしやすい)
部屋のトイレに手すりは必須。
旅館やホテルホームページには「トイレに手すり有り」と表示されている場合も多いが、これはホテルの共用部のことをさしているケースが多い。
レストランとかロビーのトイレに手すりが装備されているだけで部屋にはないということ。
また部屋のトイレに手すりがある場合でも、それは一部の限定した部屋(バリアフリールーム)のみだったりする。
全ての部屋のトイレに手すりがついている宿泊施設は筆者の経験では残念ながら見かけたことがない。

また、出来れば便器のまわりのスペースが広い方が介助がしやすい。

3. 浴室のチェックポイント

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(写真説明:浴槽脇の手すり。写っていないが浴槽の左側手前にも手すりがあり、浴槽壁をまたぐ際にも便利であった。

最近は温泉地のホテルで大浴場に「入浴介助有り」をうたっているところも見かける。ボケちゃっている状態(表現が適切でなくてすいません)=いわゆる自分がわからなくなっている状態でもない限り、初対面の宿泊施設の人による入浴介助は恥ずかしいものだ。
また、息子が母親を、娘が父親連れての旅行の場合は、男女別の大浴場など介助することが出来ないし。だから部屋での入浴にしてあげたい。

入浴についても部屋の風呂に手すりがないと厳しい。またその手すりの位置も確認したい。
よく見かけるのが、浴槽の手前でなくて向こう側に手すりがついているケースだ。これでも無いよりはマシだが、この位置だと一番ふらつく浴槽の縁をまたぐ際に、十分な支えにならない。

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(写真説明:この椅子を浴槽内に入れて要介護者を座らせて身体や頭髪を洗った。)

あと欲しいのは浴槽の中で使える椅子だ。自宅の場合なら浴槽の脇に洗い場があり、そこで座って洗髪など行える。
しかしホテルなどでは洗い場がないので、浴槽内に椅子をおいて要介護者に座ってもらって手伝うのが介助者にとっても楽だ。

4. 自分で調べる

施設のホームページがあればまずは上のポイントを自分で確認してみよう。「人にやさしい宿」とかうたっているなら、「宿の施設」とか「ホテルの設備」とかいうコーナーでこういう情報を発信していている場合も多い。
ホームページに「バリアフリーです」「手すりあります」とかあっても具体的な写真が詳細な記述なない場合もある。その場合は次の方法をとろう。
宿泊施設に電話や電子メールで問い合わせをする場合も、ホームページ出発信されている情報を把握していれば相手とのやりとりもスムーズに進む。

5. 必ず自分で直接施設に確認する

要介護者に必要な設備が自分の期待する形で備えられているかは、自分で確認することが必要だ。ホームページの記述や写真だけでは安心出来ない。実際に行ってから「違ってた」では旅行が台なしだ。
具体的には下のような内容を直接電話や電子メールで確認したい。

  • こちらの要介護者の身体状況などを簡単に説明
  • 欲しい設備を具体的に挙げて宿泊施設にあるか確認
  • あるならば、確認のため設備の写真を送ってくれるようにお願い

このとき「要介護者を旅行に連れていきたいので、アナタの助けが必要です。助けて下さい」的なお願いを行うことが必要だ。
いくら設備が整っていても、宿泊施設の皆さんには例外的な依頼を受け入れてもらう場合がある。迷惑もきっとかける。助けがないと楽しい旅行は出来出来ないから。

感謝の気持ちを忘れない

宿泊施設も含めて、旅行業に携わっている人はほとんど「楽しい旅行」の手伝いをできたらと思っているはずだ。お願いすれば、例外的なこともなんとか対応しようとしてくれる。
しかし、そこで感謝の気持ちを忘れてはいけない。「相手も商売だから」などと思って高飛車な態度はダメだ。そんな態度ではアナタに要介護者を連れての楽しい旅行は出来ないと思った方が良い。
みんなの協力がないと絶対に要介護者を連れての旅行を快適なものにすることは出来ない。それを忘れないで欲しい。

 自分も楽しもう

要介護者を連れての宿泊旅行は苦労が多い。しかし一緒に旅行に行ける時ために残された時間はあまり多くはない。
旅行には自分も楽しめる要素を入れること。介護は日常でも苦労が多い。非日常の旅行にいけば尚更苦労は増える。「要介護者のため」だけでは、疲れ切ってしまう。もちろん要介護者の笑顔を見ることも楽しいだろうが、グルメでも景色でもなんでも良い。自分のためのポイントをしっかり入れることも大切だ。そのために要介護者が少しばかり不満をもったとしても罪悪感を感じる必要はない。
旅行に行くのは要介護者の為だけでなく自分のためでもあるのだから。